テクニカル分析の大前提のひとつとしては、市場価格に影響のある全てのものは価格に反映されているという事だ。
価格は需給であり、受給の関係が崩れれば大きなトレンドとなって相場が動く事となる。そして需給に影響のある全ての要因は「価格」に反映されている。
これがダウ理論でいう「価格は全ての事象を織り込む」という事であり、値動きの本質でもある。今回は価格が全ての事象を織り込む、についての内容を詳しく見ていこう。
ダウ理論の全ての事象とは一体どういう意味なのか?
マーケットの価格は全ての事象、言い換えれば全ての要因を織り込む。まず全ての事象を織り込むという事の本質を捉えるには、相場を動かす要因にはどのようなものがあるのか?という事を知る必要性があるのでひとつずつ見ていこう。
ファンダメンタル的要因
基本的に相場はファンダで動くという格言があるように、ファンダメンタルの要因は非常に大きいものがある。
価格変動に影響の大きいファンダメンタルは、個人トレーダーによる分析には不確定要素が多く、実際の相場分析にはほとんど役に立たないというのが現実だ。
テクニカル分析的要因
価格を織り込む事象の要因で、テクニカル分析も当然当てはまる。
個人トレーダーだけでなく、ヘッジファンドや機関投資家など、ファンダメンタルを軸としている大手金融機関でもテクニカルアナリストが配属されテクニカル分析を取り入れている。
価格の節目などのテクニカル要因が価格に影響を与えているのは間違いない事実だろう。
実需や金融経済的要因
実需を大きく見てみると、貿易などの影響による価格変化や、金融経済などの要因も価格を動かす要因のひとつになる。
しかし、これはファンダメンタル要因のひとつであり、特徴としてはこれもまた不確定要素の強いものと言えるだろう。
行動ファイナンス的要因
行動ファイナンスは個人の市場心理や相場経済全体の心理状態です。心理的要因は価格を大きく織り込み、相場を動かす非常に大きな要因になる。
行動ファイナンスはファンダメンタルとともに、個人トレーダーが分析するのには非常に難しいものだが、テクニカル分析をすることによってある程度は分析する事が出来るのが特徴だ。
以上が相場が価格を織り込む「全ての事象」の大部分で、このような複雑な要因が合わさって価格の値動きというのは形成されていく事となる。
結果的に見ると、この事象全てを分析し相場に活かしていく事は不可能だ。
言い換えると私たち個人トレーダーは全ての事象のほとんどを分析する必要性がないという事になる。では価格を織り込む事象の本質について解説していこう。
価格を織り込む事象の本質とは
ダウ理論を元に、これから私たちがどのようにトレード戦略をしていかなければならないのか?について考えてみよう。
個人トレーダーは全ての事象を考える必要はない
このダウ理論で考えることというのは、私たちには価格が動く理屈を知る必要性が無いという事が本質的な考えだ。
言い換えれば「価格は全ての事象を織り込むので、全ての分析をしても意味がない」つまり、相場で勝つためにはあるひとつの分析だけを延々と繰り返すということ以外に方法はないという事になる。
個人トレーダーとしてできること
個人としてできる事は、ある一定の値動きの規則性からある決まった方法と規則性のある局面でのみトレードをして、トータルで勝ちを積み重ねていくという事だ。
もちろん分析方法はテクニカル分析なので、テクニカル分析の中から規則性と手法を見出していく事になる。この事からテクニカル分析には膨大な数の検証が必要である、ということの裏付けにもなる。
そして最大の注意点として挙げられるのが、自分が規則的にやっているテクニカル分析以外は意識をしないという事になる。なぜなら他の要因というのは相場分析をしていく上で、プラスになる情報ではないという事があげられるからだ。
ファンダメンタル的な要因などは、意識をすればするほど全ての事象という大きな波に飲み込まれて、答えがない相場の波によって自分の分析に大きくブレを生じさせてしまう原因になってしまう。
まとめ
今回はダウ理論基本原則の1部分である「価格は全ての事象を織り込む」について解説してきたが、この理論のテーマは相場という大きな波に固執せず、自分の分析手法を貫くという事に他ならない。
もちろんファンダメンタルが何ひとつとして必要ないというわけではない、問題なのは自分にとって必要なファンダメンタル要因だけを抜き出し、トレード分析の一貫として利用できるのかどうかだ。
心理をブレさせるものではなく、トレードの基準としてファンダメンタルのどの部分だけを使っていくのか?非常に大切で難しい問題だと言えるだろう。