今回はダウ理論のチャート分析理論であり、非常に有効かつ他のテクニカル分析にも多く通用する「トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する」という部分において解説していこう。
基本的にダウ理論と言えばこのトレンド変換のチャート分析の事を「ダウ理論」といっている方がほとんどだろう。
それくらい大切な基本という事だ。
ダウ理論でいう明確なトレンドシグナルとは「前回の高値、安値の切り上げ」が基本原則であって、まさに値動きの本質である非常に重要なポイントになる。
ダウ理論基本原則「前回の押し安値と戻り高値」
ダウ理論で1番注目され、基本原則としてトレーダーが意識している前回の押し安値と戻り高値の切り上げ切り下げについてはダウ理論〜基本原則で値動きの本質を知るという記事で紹介しているが、簡単に説明しておこう。
上昇トレンドの継続のパターンは、波を作りながら上昇下降していくものだが、トレンドの継続の定義は「前回の安値を今回の安値が下回らない」という事だ。
安値の切り上げが継続していく事によってトレンドが形成され、トレンド転換のシグナルとしては前回の安値を今回の価格が下回った場合をトレンド転換のシグナルとする。
さらにトレンド継続を続けていくシグナルとしては、前回の高値を超えていくというのがダウ理論の定義だ。
ダウ理論を使った主なトレンド継続変換シグナル
ではダウ理論を使っているテクニカル分析について代表的なものを見ていこう。
チャート分析によるフォーメーションのシグナル
チャート分析においてフォーメーション分析というのは、トリプルトップやダブルボトムのようなある一定の形を形成するものだ。冒頭で紹介したチャートを見てみよう。
ここからチャートの横幅を縮めてみる。
トリプルトップが形成されている事が明確に分かるようになった。この時のトレンド転換シグナル第一は下のチャートの画像青丸の部分になる。
理由としてはダウ理論でいう前回の高値を超えれていないという事だが、第二のシグナルである前回の安値は下抜けする事なく上昇に転じ、前回の高値を上抜けして上昇の継続をしている。
ここで考えておかなければならないのは、1度前回の高値を超えられなかったという事実だ。
相場全体の上昇の勢いは衰えていて、ここからの上昇は後で説明するエリオット波動の第5波、楽観的な最終の買い局面と判断することができる。
そして、今回のトリプルトップのネックラインは、前回の高値を上抜けられなかった上昇の起点である下チャートの赤い線だという事が言える。
この状況で判断できる要素は次の2点だ。
- フォーメーション「トリプルトップ」を形成するにはネックラインを下に抜ける必要がある
- ダウ理論的に前回の安値を下に抜けてきたらトレンド転換のシグナルである
今回はトリプルトップを例に挙げてみたが、フォーメーションだけでも色んな種類がある。
そのほとんどにダウ理論のトレンド転換シグナルを組み合わせて見ることによって、さらに優位性のあるチャート分析ができるようになるだろう。
エリオット波動による5波の終了シグナル
エリオット波動の5波というと上昇トレンドの最終波動だ。上記にあげたトリプルトップとダウ理論にエリオット波動を組み合わせるとさらに強固なトレンド転換シグナルになる。
今回の上昇トレンドをエリオット波動で表すと上記チャートのようになる。
エリオット波動に関してはエリオット波動理論とは|基本知識を完全網羅の記事をチェックしよう。
下図青丸の位置はダウ理論でいう前回の安値を下抜けする起点となった高値であり、トリプルトップを形成する最終的な高値だ。
こうしてエリオット波動やフォーメーションにおいてもダウ理論は重要なサポートとなる。
今回のチャートでは、買いの勢いはさらに前から衰えており、トレンド転換の予兆をもう少し前から知っておくこともテクニカル分析において優位性がある。
今回はトレンド転換の予兆をもう少し早く知る為のトレンドラインも紹介しておこう。
トレンドラインによるシグナル
今回のチャートにトレンドラインを引くと下図のようになる。
1度トレンドラインを割り込んでサポートラインがレジスタンスに切り替わったのも確認できる。ここで重要なのは、1度下に割り込んでレジスタンスされた場所だ。
この場所こそダウ理論でいう前回の高値を超えられなかった場所になる。つまりここでトレンドラインとダウ理論によって、トレンド転換の予兆がはっきりと浮き彫りになったといえるだろう。
大きな上昇相場が続くにしても、どこかで上昇の5波が発生したら「下落を狙ったエントリーのチャンス」といえる。
まとめ
トレンド転換だけではなく、ダウ理論はテクニカル分析の基本であって本質だ。どんな分析をするにしてもまずはダウ理論を覚えておくというのは大切になってくる。
テクニカル分析は机上の空論であるとか、あてにならないという声もあるが、今回の基本的なものだけ見たとしても、デタラメのようなものに見えるだろうか?
しかし、相場判断をする上でこの理屈は当然必要なのだが、ダウ理論だけでエントリーのタイミングを測ろうとするにはかなり難しいものがある。
これだけは覚えておいて欲しいのは、ダウ理論は相場の原理原則であり、ダウ理論だけで利益を得るというのは基本的に考えないほうがいい。パッとチャートを見たときに「こんな感じに相場が今なっているんだな」と分かる程度で充分だと言えよう。
実際に相場では上昇トレンドだからと言って必ずしも前回の安値を下回らないとは限らない。1度下回ったからと言ってトレンドが変換するから下目線とか、安易なものではないので注意しておこう。