相場心理を活用したフィボナッチ数列の描写ツールは数ありますが、フィボナッチファンという描写ツールは値動きと時間軸の両方を使ってトレンドラインを引いてくれるテクニカル分析指標になります。
フィボナッチ系の描写ツールは、リトレースメントやエクスパンションが有名で、水平線での描写をしてくれるものとなっています。
逆にフィボナッチファンはトレンドラインのように斜めにラインを引いてくれるツールになっています。
それでは、フィボナッチファンの引き方や使い方について見ていきたいと思います。
フィボナッチファンの引き方
フィボナッチファンの特徴は、大きいトレンドからその先の相場の勢いを把握するのに適しているツールです。
つまりエリオット波動の1波の起点から5波の最終の最高値まで引ければ、上昇トレンドの一連の波にフィボナッチファンが当てられるので、ベストのラインが引ける事になります。(エリオット波動理論とは|基本知識を完全網羅)
トレンド転換のどの位置からエントリーを狙っていくのか?という場合にフィボナッチファンを使います。ではチャートを見ていきましょう。
トレンドの起点にフィボナッチファンをあてて、それからトレンドの高値まで引っ張って指定します。
そうすると自分の引いたラインが0%のラインとなり、その下に38.2%・50%・61.8%の3つのトレンドラインが現れます。
その3つのラインがフィボナッチファンのトレンドラインになりますので、これからそのラインを意識してチャート分析をしていきます。
フィボナッチファンのトレンドラインと抵抗線
チャートではどのようにフィボナッチファンが目安になっているのかを見てみましょう。
上記の画像で確認すると、非常に強いトレンドラインのレジスタンスとサポートになっているのが分かるかと思いますが、少し拡大して見てみましょう。
拡大して見てみるとよく分かると思いますが、トレンドラインというよりも抵抗線として機能していますよね。しかも大きな下落となった最終の攻防はフィボナッチファンの61.8%を起点に大きな下落となっています。
ライン分析でよく見られる「リターンムーヴ」もフィボナッチファンを起点によく効いている事がわかります。ライン分析を極める!ライントレードの基本知識とは
フィボナッチファンは相場を広く使うのがコツ
フィボナッチファンは大きなトレンドに引いた方が効果的です。言い換えれば分析チャートを拡大して見るよりも縮小して、出来るだけ相場全体を見渡す事が大切です。
ロウソク足を大きく表示していると、目先の値動きにとらわれて、せっかくのフィボナッチファンも使う事ができません。
分析ツールによってはあまり過去まで表示できないものもありますので、そうなってくるとフィボナッチファンは使いづらいと感じるかもしれません。
せめて今回紹介させていただいたチャートくらいの表示で見た方がフィボナッチファンは使いやすいと言えるでしょう。
それではチャート分析を広く見ることによって、どのような利点があるのか見てみましょう。
フィボナッチファンはかなり先のトレンドまで予測できる
上記チャートは上昇トレンドにフィボナッチファンを引いたものです。基本的にリトレースメントやエクスパンションなどの他のフィボナッチ系でもそうなんですが、黄金比である38.2%と61.8%というのは非常に重要なラインです。そしてまた50%のラインというのも時として非常に強い抵抗帯となります。
ではこれから先どのように相場は展開していったのでしょうか?さらに縮小したチャートで見てみましょう。
どうでしょうか?最初の画像では38.2%と61.8%がメインで効いていたのですが、広域に見てみると50%が異常なくらいにレジスタンスの役割を果たして大きくトレンド転換していますよね。
このようにフィボナッチファンはトレンドの安値と高値を起点に引くとかなり先のレジスタンスやサポートの役割まで果たしてくれる優秀なツールなんです。
まとめ
フィボナッチファンには61.8%・50%・38.2%という3つのラインがありますが、実際にどこで効くか分からないので、どう目安を付けていいのか分からないと思います。
そんな時ひとつ覚えておいた方がいいのは、反発してそのラインが効いているのか確認してから戦略を立てるという位ゆっくりでもいいという事です。
フィボナッチファンはトレンド継続のサポートというよりも、相場全体の勢いがどのようになっているのかを把握するのに向いています。
特に他のテクニカル指標などと組み合わせて使うわけですから、フィボナッチファンのどのラインが効きそうなのか?というのは、別にフィボナッチファンだけに頼る必要もありませんし、他のテクニカル分析とのポイントが合致していれば最高のエントリーポイントになるかもしれません。
フィボナッチは描写ツールですので、フィボナッチファンだけでチャート分析を完了させる事はできません。
しかし、慣れてくるとかなり使いやすい描写ツールですので、他のインジケーターと組み合わせて使ってみるのはアリと言えるでしょう。