グランビルの法則は4つの買いパターンと4つの売りパターンから構成される。使うインジケーターは移動平均線であり、移動平均線を使ったテクニカル分析理論だ。
基本的に8つのパターンと言われるが、買いのパターンと売りのパターンは同じであって、買いのパターンを逆に考えると売りパターンになる。つまり、グランビルの法則を知るなら4つの買いパターンを知れば、おのずと8つの売買パターンはわかるという事だ。
グランビルの法則の基本は200日移動平均線の設定だが、この記事では50日の移動平均線を使っている。基本的に設定は使い易ければなんでもいい。
では、グランビルの法則「4つの買いパターン」について詳しく見ていこう。
買いパターン①「トレンドの変換」
では買いのパターンをひとつずつ見ていこう、まずひとつ目は「トレンドの変換を移動平均線で捉える」というものだ。
移動平均線はそもそもトレンド系のインジケーターだ。そう考えると移動平均線とグランビルの法則ではこのトレンドの変換を捉えるというのはある意味理にかなっているのかもしれない。
トレンドの変換は移動平均線の明確な上抜け
ではトレンド変換によって移動平均線がどうなっているのかを見てみよう。上記画像は非常にわかりやすいトレンド変換のチャートになっている。トレンド変換となっているところは黄色い丸印の部分だ。
そもそもトレンドというのは継続して上昇、もしくは下降している相場の事だが、上記チャートでは下降トレンドから上昇トレンドに黄色丸の部分を起点に切り替わっているのがわかるだろうか。
ここではロウソク足(価格)が明確に移動平均線を上に抜けてきている。
しかしあくまでもこのチャートは鉄板的なトレンド変換で、必ずこうなるようなものではない事は覚えておこう。これはあくまでも基本的な例だ。
移動平均線の性質については移動平均線を極めよう!基本知識を徹底解説という記事でも紹介しているが、上昇トレンドの時は移動平均線は価格の下を推移して、下降トレンドの時は価格の上を推移する性質がある。
これはトレンドラインでも同じ要領を使い、下降トレンドの時は価格の上にラインを引き、上昇トレンドの時は価格の下にラインを引いていく。
下降トレンドから上昇トレンドに転換する時には「価格が移動平均線を明確に上に抜ける部分」というのがある。もちろん上昇トレンドから下降トレンドであれば、移動平均線が明確に下抜けするという事になる。
ここで注意だが、今回の例はあくまでも下降トレンドから上昇トレンドに転換する場合だ、もしかするとレンジ状態に入って再下落したり、様々なパターンがある事は覚えておこう。これは基本的な移動平均線と価格の推移状態を説明している。
明確な上抜けとはどういう意味か?
ではここで疑問となってくるのが「明確」というのは一体どういう状態のことなのか?という事だ。移動平均線を使った明確なトレンド変換には次のような見方がある。
- 移動平均線の方向が上向きになる
- 価格が移動平均線を上に抜いた後、価格が再び移動平均線まで戻り反発する
- 価格が移動平均線を明確に
移動平均線を上に抜けた後赤いロウソク足が移動平均線から完全に独立して上離れしている。これは例えヒゲであっても、かかっているようだと完全な上離れとは言えないという見方だ。
そして「移動平均線が上向きになる」だが、使っている移動平均線の設定にもよりけりだが、移動平均線の性質上、明確に上向きになるまでにはそれなりの時間を要するので、必要以上に気にするものではない。
ただしこの例に関しても、あくまでも抜けたという理由付けにしか過ぎない事は覚えておこう。移動平均線は設定によっても違いがあるし、マーケットで大きく意識されているものではない。
自分なりの基準を作って、トレードに生かしていくという考え方を持っていたほうがいいだろう。では明確な上抜けとして価格が再び移動平均線で反発するという状態を見ていう。
買いパターン②「押し目買い」
買いパターン①で価格が移動平均線を上抜けしてトレンド変換のシグナルが出たが、トレンドが変わった明確な理由としてその後の移動平均線の反発を確認するというものがある。
この状況は俗にいう押し目買いと言われているタイミングでもあり、エントリーのタイミングとしても優位性があるタイミングになるので、是非とも狙っていきたい部分になる。
トレンド継続の押し目買い
相場の動きはランダムウォークと言われるほどに一直線にトレンドが伸びていく事はほとんどない。グランビルの法則ではトレンド継続のパターンとして移動平均線での反発を利用した押し目買いをひとつのパターンとしている。
上昇トレンドになると、移動平均線の上をロウソク足が推移していくが、再び移動平均線に吸い寄せられるように下降して戻ってくる事がある。
移動平均線に付近に近づいてきたら、もしくは手前で反発して再び上昇したら買いのパターンという見方だ。
買いパターン③「移動平均線を割り込んでからの反発」
パターン②の押し目買いでは、移動平均線での跳ね返りを狙った買いパターンでだったが、パターン③では跳ね返らずに1度下に移動平均線を割り込むが、その後再び移動平均線を上に突き抜けて上昇してくるというパターンになる。
上記チャートを見てみよう。価格・移動平均線ともに上昇してきたが、○印のところで明確に移動平均線を下に抜けてきている。買いパターン①で説明した移動平均線の下抜けの状態だ。
しかし、パターン②でも説明したように、これだけでははっきりしたトレンドの変換とは言えない。では戻りを待ってみよう。
移動平均線に反発して下落のパターンになりそうだ。ここで前回の安値を下回ればダウ理論的に明確なトレンド変換シグナルとなる。しかしこのパターンでは前回の安値を下回る事なく上昇して再び移動平均線を上抜きしていった。
つまり、戻ってきてからのショートが失敗に終わったという状態だ。
リターンムーブというのは必ず成功するものではない。このパターンでは上昇の勢いが強く、1度は前回の安値を下抜けたものの、再び移動平均線の上まで価格が押し戻されている。
この状態がグランビルの法則③の一度移動平均線を割り込んでからの再度の上抜けの状態だ。このチャートにはそのパターンが2箇所ある。
もちろん上記のチャートでも、もっと長い時間足で見れば、シンプルに1度下抜けてからの上昇に見えるかもしれない、見ている時間足によっても判断は変わってくる事を覚えておこう。
このパターンでは、一度下に押されたが、さらに上昇してきた時は、買いの勢いが強くダウ理論的に仮に前回の安値を下回ったとしても、再度上昇してきた場合は買いに優位性があるというものだ。
では最後に買いパターンの4つ目を見てみましょう。
買いパターン④「移動平均線からの乖離」
グランビルの法則4つの買いパターンで、1番注意しておかなければならないのが4つ目の売買パターンである「移動平均線からの乖離」だ。
価格が移動平均線から大きく乖離した場合は、また移動平均線に戻ってくる習性を利用して価格の戻りでエントリーのタイミングを見極める、というものになる。
確かに、結果的にチャートを見ていると、なるほどここでエントリーしておけばかなりの値幅が取れているな、と感じるパターンは多い。しかし、実際の値動きの中で、移動平均線の乖離だけでエントリータイミングをはかるのは、非常に困難でリスクを伴う。
なぜなら、価格が上昇下落している時というのは、値動きに勢いがついていて、とてもエントリーするにはメンタル的にも厳しい。
乖離からのエントリーは乖離率よりも価格の節目を利用する
インジケーターで「乖離率」を用いてエントリータイミングをはかるものもあるが、乖離率5%?10%?もしくはそれ以上の乖離率になることも普通にあり、うまくエントリーできたとしても、トレードスタイルとして継続的に乖離率で利益を積み重ねていくには正直厳しい。
しかし、実際には乖離率だけで見るのではなく、テクニカル分析によって何らかの根拠を持っている場合はもちろん別だ。
どうしても乖離を狙いたい場合は、乖離率よりも価格の節目をエントリーポイントに使って見ていく事をおすすめする。基本的には初心者のうちにこの手法を使うべきではないと考える。
なぜなら、必ず価格が移動平均線に戻ってくるとは限らないからだ。大きく下落して移動平均線から乖離したとしても、価格が戻ってくるのではなく、移動平均線が価格に近づいてくる事も普通にあるので注意しておきたいところだ。
まとめ
グランビルの法則4つの買いパターンについて説明したが、簡単に言ってしまえばすごくシンプルで、使いやすそうな理論だ。しかし、実際のトレードで使ってみるとなかなか難しい事に気づくだろう。
しかし、それは当たり前であって相場が実際に動いている時にエントリーするわけだ、タイミングやコツを掴むまでは反復の練習が必要になってくる。
あくまでもこういう説明というのは、値動きが終了した後のチャートを使って説明しているので簡単そうに見えるし、説明自体も誰でも簡単にできるような安易な印象を与えやすいのが事実だ。
そして実際にトレードをしていると、エントリーポイントもそうだが、あわせて「利確や損切り」といった出口戦略も大切な要素になってくる。詳しくはグランビルの法則|利確と損切りのタイミングとはをチェックしてみてほしい。
最後だが、冒頭でも説明した通り、グランビルの法則の売りの4パターンは買いの逆だ。
- 移動平均線を下抜けたら売り
- 移動平均線に反発して下落したら売り
- 移動平均線を上抜けて再び移動平均線を下抜けたら売り
- 移動平均線の対してロウソク足が大きく乖離したら売り
という事になるので、補足までに・・・