ポジポジ病の先に見えるもうひとつの壁|待っているのに勝てない理由

FXや株式などのトレードでは、無駄なエントリーをしない「待つのが仕事」だとよく言われる。逆に待てない、理由の薄いエントリーを繰り返し行う行為を「ポジポジ病」という。

一般的にはこのポジポジ病は負ける原因とされていて、エントリーを待つ事を覚えれば比較的勝率が良くなると言われている。確かに間違いはないが、ポジポジ病を克服する事によって、もうひとつ新しい壁ができるのをご存知だろうか?

それが待つというトレードスタイルの壁だ。

相場では一般的に言われている「待つ事」だけではない。勝負どころでキッチリエントリー出来るかどうかが勝てるトレーダーには必須となる。

ポジポジ病の克服という時期なら、まだトレードスタイルが確立されてはいないはずだが、トレードスタイルが確立されてきてからもっと厄介な状態がある。ポジポジ病の先にあるもうひとつの壁「待つ」という行為について考えてみよう。

≫ テクニカル分析だけでは意味がない!?その理由と最強の取引システムとは

目次

ポジポジ病の心理状態とは

では「待つ」事について考える上で、まず真逆の行為であるポジポジ病の心理状態について考えてみたい。ポジポジ病を克服しようとして選択した行動こそが「待つ」というものであるからだ。

ポジポジ病とは基本的に初心者の頃によく経験するものだ。チャートを見るとどんな状況でもチャンスに見えてしまい、今エントリーをしておかなければ損をしたような気持ちになる。

その気持ちとは、テクニカル分析に対してそこまでの知識や経験がないからこそ生まれてくる感情であり、人間が本来持っている当たり前の行動であり、病気でもなんでもない。

当然相場は上昇するか、下降するか?の2択しかないので、分析をほとんどしていなくても当然勝つ時もある。ヘタをすると目先では勝率5割か、それ以上の成績を上げる事ができるかもしれない。

なので安易なポジションを多く持ってしまい結果的に「ポジポジ病」という心理状態になってしまう。むしろテクニカル分析を勉強して、知識を入れれば入れるほど相場ではなぜか反比例して勝てなくなってくる。

ポジポジ病の様に安易なポジションを取っていても最終的には「勝てない」という事に気付き、相場を勉強し効率の良いエントリーを模索し始めるからだ。

つまり、テクニカル分析を勉強して勝てなくなるというのは、成長している証でもあるのだ。そして気付き始めるのがチャンスが来るまでエントリーをしない、待つという行動になる。

待つ事の弊害について

さて、チャンスが来るまで待つという事を覚えて、エントリー回数は激減するはずだ。最初はうまくいかず意図しない場所でエントリーしてしまい反省する。その繰り返しだろう。

しかし、ここで考えてみて欲しい事がある。勝てなかったのは待てなかったから、ただそれだけだろうか?

まわりのいろんな情報では確かにエントリーは待つのが基本と言われている。確かにあながち間違ってはいない。しかし大切な事がスッポ抜けている、トレードでは待つ事が全てではないのだ。

チャンスまで待てれば勝てるようになるのか?残念ながらそれは間違いだ。問題はチャンスというものが本当にチャンスなのか?あなたは見極められているのだろうか?

待つだけ待ってチャンスと思ったところでエントリーしてみる。それでもし負けたらどれだけの時間と精神力を消費するだろうか?待つだけ待ってエントリーを見送ってしまったら、もう2度とないチャンスを損失してしまったような後悔をしてはいないだろうか?

待つことができるから勝率があがる、そういうのは自分のトレードスタイル、自分のエントリーポイント、自己心理分析がしっかり出来ているというのが前提だ。

待つという意識は大切だ。しかし過剰に待つ事にバイアスをかけすぎてしまうと、トレードスキルがいつになっても上達しない、という弊害を呼んでしまうのだ。

ポジポジ病と「待つ」の他に重要なトレード経験とは

チャンスを待つというのは確かに大切な事だ。しかしトレードスキル、つまりトレードの経験値が少ないうちから待つ事にこだわりすぎると、いつまで経っても勝てるトレーダーへと前進できない。

勝つためにはトレードの経験値がまず必要不可欠になってくる。

もちろんデモトレードのような仮想トレードではない。実際に自分の資金を入れてトレードするからこそ「自己心理分析」というトレードで勝つために必須となるメンタル分析もできる事となる。

デモトレードを悪いとは言わないが、それはトレードの入り口にのみあってもいいものであって、それなりにトレードやテクニカル分析を経験したなら、むしろ時間の無駄にしかならない。

まとめ

端的にトレードは「待つのが仕事」「待つ事が勝率を上げる秘訣」みたいな情報は多いだろう。しかし、待つだけではダメなのだ。

待つ事だけを訴えかけているような情報は、トレードスキルがある上級者の情報か、もしくはただの素人かどちらかだろう。はっきり言おう、待つ事自体は大切だ。しかし、その前に勝てるトレードスキルを身につけることの方が先決だ。

トレードスキルとは経験であり、そこから生まれてくる最大の武器は「決断」をするための判断力であり「決断」をするための行動力になる。

決断するための判断力は「相場分析」であり、テクニカル分析によるものが大きいだろう。行動力は自己メンタルが必要不可欠なので、トレードノートなどを使った自己心理分析が必要になってくるのは言うまでもない。

そして、その要素全てが「決断力」となってトレーダーにとって強烈な味方になってくれるのだ。

リスクを出来るだけ抱えたくない。それは皆同じだ。しかし、リスクを抱えながら前に進んで行かないと勝てないのが相場の世界。エントリーまで出来るだけ待つ、引きつけるというのは、そもそものトレードスタイルの延長線だということを覚えておこう。

目次