テクニカル分析において「環境認識をすることが大切である」とはよく耳にする言葉だが、実際のところ環境認識とは何なのか?答えをいうなら「現在の相場状況(環境)からこれからの戦略を考える」といった実にアバウトなものになる。
そもそもの話だが、環境認識ができていればトレードに対して圧倒的優位性が出ることは間違いない。ただし、環境認識することが難しいからこそ相場で勝つことも難しいのだ。
この記事では環境認識とは何か?環境認識についての間違った見解についてお話ししていくので、興味のある方は参考にしてほしい。
環境認識は複数の時間足を使うのか?
環境認識においてメジャーな考え方としてはマルチタイムフレーム分析になる。一般的にはマルチタイムフレーム分析=環境認識みたいなどっちつかずの情報も多いが、マルチタイムフレーム分析と環境認識は同じではない。
マルチフレーム分析とは、長期足の流れを判断して短期足でのトレード目線を決めていくというものだが、これはかなり難易度の高い分析方法である。
長期足が分析できているのならば、そもそも短期足でトレードする必要はなく、見る長期足のトレンドがこれから先も継続していくのかどうかは不確定要素が強い。
長期足の環境を短期足に落とし込むというのは理屈的にはそのとおりだ。しかし、安易に立ち向かうだけでは「上昇トレンドなのに買いで負ける」「下降トレンドなのに売りで負ける」というありがちな負けを繰り返していくことになる。
環境認識はマルチタイムフレーム分析ではない
環境認識とは、トレードスタイルとしているメイン分析に対し、上昇、下降なのかではなく、狙っているエントリーポイントに達するまでにどのような状態なのか?現在はどのような状態だから待つべきなのか?それとも戦略を訂正するべきなのか?を判断するものである。
マルチタイムフレーム分析をするものではなく、何か決まった行動をするものでもない。なぜなら環境認識とは、トレーダーの取引手法や分析手法などによって千差万別だからである。
環境認識とはボヤッとした定義のないものである。確かに環境を認識することは大切だが、トレードスタイルも定まらない状態であれば、環境認識を意識するたびに負のメンタルに巻き込まれる。
トレードスタイルを固めることにより環境認識はおのずと身につく。なぜならば、勝てる手法には必ずと言っていいほど、なんらかの環境認識が必要になり、極めるために何らかの環境認識を行う必要性があるからだ。
環境認識はどういった局面で必要なのか?
環境認識の前に必要なものは分析手法、トレードスタイルであり、分析手法やトレードスタイルによって環境認識の方法は変わる。
勝てないのは環境認識ができていないからではない。そもそものトレードスタイル、分析手法が固まっていないのが原因であり、追求、探求に対し、まだまだ自分というものが確立されていないからなのだ。
これが環境認識であり、手法に対するエントリーチャンスが本当にチャンスなのかどうかを判断するための環境認識なのだ。だからこそ、環境認識はトレードスタイルや分析手法によって違うし、環境認識は分析手法でも何でもないのだ。
常識を受け入れすぎると相場では勝てない
一般常識がこれほどまでに通用しないものは他にあるのだろうか?と思う程に相場に常識は通用しない。よく大衆の逆をしろなどと言うが確かに納得である。
しかし一概に逆という意味合いではなく、何が正しいのか?何をどうしたらいいのか?という判断を大衆に左右されず、自分自身で全てを決断していくという意味だ。
まわりの人間100人がこれは白だと言っていても、本当に白なのかを自分で確かめなければならない。そして仮に自分の判断は黒だった場合、たったひとりであっても白を選ぶべきではない。
「環境認識は大切である」という言葉だけが先回りし、環境認識が一体どう言ったものなのかを追求しないのは、あまりにも厳しい状況であると考えられる。
まとめ
もちろん他の時間足を見て総合的に判断することもある。しかし、大きな時間足で上昇だから買っていれば勝てていたはずだ、大きな時間足で大きな下落だったから売っていれば勝てていたはずだ、というのを環境認識ができていなかったからだと後付けするのも人間の心理なのだ。
環境認識はマルチタイムフレーム分析ではない。手法に対してのシグナルでもない。自分がエントリーポイントとしているタイミングは本当にそのタイミングなのか?それまでの値動きをみて、これからどういった決断をするべきなのかを判断するための環境認識なのだ。
だからこそトレードスタイルや手法によって、相場環境を認識する場所やポイントは違ってくる。本質のない情報に対し必死に勉強するのならば、トレードノートなどで自己検証したほうがよっぽど身のあるスキルを習得できるのではないだろうか?