マルチタイムフレーム分析|複数の時間足を使う理由とは

マルチタイムフレーム分析とは、長期間の時間足から段階的に時間足を短くし、長期的な相場の方向性を短期足にも反映させて分析する方法である。Multiple Time Frame Analysis(MTF)の意味合いは「複数の時間足を使った分析」という単純なものだ。

例えば、5分足での方向性を探るために、まずは4時間足を分析する。次は1時間足と複数の時間足を利用し、長期足の相場状況を軸として短期足は買い目線なのか?売り目線なのか?の方向性を決めていくのだ。

テクニカル分析において、複数の時間足を使って分析するのは一般的に常識化しているが、実際に必要不可欠なものなのだろうか?デメリットや使い方などをレビューしていくので、マルチタイムフレーム分析についての本質を知りたい方は参考にしてみてほしい。

目次

マルチタイムフレーム分析にはどの時間足を使うのか?

テクニカル分析ツールには複数の時間足が用意されている。基本的には1分足から5分足の短期足から、1時間足や4時間足、日足週足などの長期足などが多く使われ、MT5ではさらに細かく20種類以上の時間足を利用することができる。

どの時間足をメインに分析するのか?はトレードスタイルによって様々だが、大切なのはどの時間足をメインに分析するのかを明確にすることである。それではマルチタイムフレーム分析に利用する時間足について見ていこう。

短期と長期の時間足はあまり大きくかけ離れてはならない

仮に5分足を軸にトレードするとしよう、大きな流れとしては1時間足や4時間足の流れを参考にしてトレードプランを考えることになる。

もちろん分析手法にもよるが、5分足を軸とした短期トレードの場合、日足や週足といった長期足の流れはほとんど参考にならない。なぜなら次に出現する日足のロウソク足を陽線か陰線か、仮に予測できたとしても、5分足などの短い時間足のトレード戦略にはほとんど影響がないからだ。

1時間足のロウソク足1本は5分足12本から構成されていて、日足は288本もの5分足からなる。つまり、日足1本のロウソク足の中にはいくつもの短期トレンドが発生する可能性は極めて高い。

ランダムウォーク理論でも相場分析で次の価格が上昇するか下降するか予測するのは不可能だと考えている。上昇トレンドであっても、日足で5本程度陰線が出ることなんて普通にある。5分足などの短期足でトレードするのに、日足という長すぎる時間足で方向性を決めるのは基本的に優位性がない。

マルチタイムフレーム分析に利用する時間足の参考例

それでは実際にどの時間足を利用すれば良いのか?短期足と長期足の組み合わせを紹介しよう。あくまでもトレードスタイルや分析手法によっても違いがあるので、参考程度に考えてほしい。

軸とする時間足参考にする長期足
5分足1時間足
15分足2時間〜4時間足
30分足4時間〜6時間足
1時間足12時間足
4時間足日足〜週足
マルチタイムフレーム分析参考例

マルチタイムフレーム分析といっても、多くの時間足を使用する必要はない。トレードの軸となる時間足よりも大きな時間足を参考にして、トレードプランを考えていくことになる。

より好みに合った時間足を探すにはMT5のように時間足の多い分析ツールを利用するのも手だろう。下記はMT5で利用できる時間足になるので、参考までに紹介しておく。

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マルチタイムフレーム分析の考え方と注意点とは

マルチタイムフレーム分析において重要なのは「長期足で一体何を判断するのか?」である。ただ単に漠然と長期足を見ていても意味はない。

長期足で何の情報を得るのか?

一般的に多くある情報では、長期足で現状、これからの値動きを分析し、目線を決めて短期足でトレードするとあるが、そもそも長期足で分析がきちんとできるのならば、わざわざ短期足でトレードする必要はあるのだろうか?長期足でも分析するのが困難なのに、短期足にどうやって落としこむのか?相場分析はそんなに簡単なものではない。

マルチタイムフレーム分析には長期足の細かな分析は必要ではない。あくまでも軸としている時間足の分析を主として考えなければ、エントリー決済の明確なプランは立てられない。

マルチタイムフレーム分析において重要な考え方のひとつは「目線を決める」ことである。こらからのトレードプランにおいて買い目線なのか?売り目線なのか?を決めるのはトレード戦略において重要なポイントになる。

短期、長期のシグナルが一致したらエントリーする?

短期、長期すべてのシグナルが一致、すべての足が上昇トレンドになったら買うというのも理屈ではそうだが、実際にはすべての足が上昇トレンドだからといって、これからも上昇する可能性が高いとは言えない。

視覚的にトレンドであると判断できる時は、トレンドの最終地点であることも多く、同時にレンジと判断できた場合は、もうすでにレンジブレイク間近であるパターンも多い。

仮に上昇トレンドだと判断できる場合なら、もうすでに上昇トレンドが形成されているから視覚的に判断できるのである。つまり、トレンドに乗ることと高値掴み、安値掴みは表裏一体なのだ。

マルチタイムにこだわりすぎると逆の効果を生む

日足→4時間足→1時間足→5分足と、順番にマルチタイムフレーム分析をしたとしよう。1時間足、4時間足が上昇トレンドだったとしても日足が下降トレンドだったら、買い目線にブレが生じるのは当たり前である。

マルチタイムフレーム分析は、こだわりすぎると迷い、ブレを呼び込み、本来の目的である目線付けとは全く逆の効果を生んでしまうので注意しておきたい。

全てのシグナルが一致するという考え方も、ある意味ハイリスクハイリターンだといえるだろう。

マルチタイムフレーム分析おすすめの利用法

あくまでも個人的ではあるが、マルチタイムフレーム分析をどう使ったらいいか?参考までにお伝えしておこう。

長期足で明確なトレンドが出ている場合は、流れに乗ることは大切だ。ただし、実際の相場ではトレンドの方向性が分かりずらいことの方が多いはずだ。

そんな時は価格の節目(水平線)やトレンドラインを長期足で意識してみてほしい。仮に5分足でトレードするのであれば、1時間足や4時間足のレジスタンス、サポートのラインはエントリー、決済を判断する物差しとして有効な手段になる。

他にも長期足で判断できるフォーメーションも重要な指標となる。長期足で天井を3つ付け、ネックラインを下に割ったのならば、次に狙うのは短期足が上昇した時の売りであったり、戦略は様々である。

まとめ

マルチタイムフレーム分析は単純すぎるがゆえに、利用の仕方を間違うとトレード判断にブレを生じさせ、デメリットとなる場合も多くある。

逆に、短期足では見えにくい価格の大きな節目や、目線を決めるには優位性のある分析だ。

相場分析は目先の判断だけではなく、より広く見渡すことで、短期足では気づかないものが見えてくる場合も多い。もちろん前提はどんなトレードスタイルで、どんな分析手法を使っているか?によっても変わってくる。

形や分析の型にはまらず、なぜ、何のためにマルチタイムフレーム分析をするのか?をよく考え、どんな情報を長期足から得ようとするのか?シンプルに考えてみる必要があるだろう。

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