テクニカル分析はなぜシンプルな方が良いのか?

チャート分析にはあまり多くのインジケーターを使わない方が良い、複雑なチャート分析はできるだけしない方が良いと耳にしたことはないだろうか?

この記事ではインジケーターをはじめ、多くのテクニカル分析手法を使い回すデメリットと、シンプルに分析することのメリットについてお話しする。

もちろんシンプルだけが正解ではないが、興味のある方はこれからのテクニカル分析の参考にしてほしい。

目次

インジケーターを多用することのデメリット

テクニカル分析を複雑にすることによるデメリットに関して紹介しよう。デメリットを知ることによってメリットも見えてくるはずだ。

シグナルが多すぎてエントリーできない

上記はインジケーターを多く表示したチャート画面になるが、肝心の値動き、ローソク足については視覚的に見にくいものとなっている。

逆に上記は水平線だけを表示させたものだが、どちらのほうが価格の転換点をよりわかりやすく表示させているか分かるだろうか?

相場分析においてまず重要なのは「優位性のあるエントリーポイントを探す」ことだ。あまりにインジケーターを多く表示させるとシグナルが合致しないことが多い。

シグナルが多くなればエントリーする理由も多くなるが、本来エントリーするべき場所でも他のシグナルによってエントリーしない理由もいくらでも見つかってしまい、エントリータイミングにブレが生じやすくなる。

本能的にブレが生じやすくなる理由

人間の感情を機械的に操作することは非常に難しい。なぜなら人間が意識的に判断、行動できる能力は非常に低く、90%以上は無意識による判断で行動を起こしてしまうからだ。

つまり、分析シグナルが多くなればなるほど、意識的に判断できる要因が薄れ、無意識のうちに思いもよらないポイントでエントリーしてしまう確率は高くなってしまうのだ。

人間が90%以上を無意識で判断するのは「リスクからの回避」という重要な防衛本能が働いているせいであり、この本質から逃れることは非常に難しいのである。

最高のトレーダーはミニマリストである。彼らは、安定的に機能する2つか3つの手法に気づき、そして、それを繰り返し使用するものである。反復には価値がある。

オリバーベレス/グレッグカブラ

相場分析は常に意識の逆をいく

トレード経験を重ねれば重ねるほど、相場での色んなパターンを経験する。ビギナーの頃はポジポジ病といわれる時期もあるが、実際にエントリーできない病というのも経験する。

本来エントリーするべきタイミングで、無意識のうちにエントリーしない理由を探している。結果的に「やっぱりエントリーしておけばよかった」といった意識で終わらせてしまう。

しかし、エントリーできなかった事実はその後のエントリーに大きくマイナスの結果を残すことになり、なぜか優位性のないタイミングでエントリーしてしまい、結果的に負けてしまうのである。

優位性のないタイミングとは「無意識にエントリーしやすいタイミング」であり、リスク回避のための判断が逆にマイナスを生んでしまうことになる。

テクニカル分析を複雑にする理由のひとつは「できるだけ負けたくない」という意識の現れでもあり、相場分析は常に自分の意識とは逆を考えておかなければならない。

時間足をシンプルにするメリット

テクニカル分析は値動きだけではない。分析に利用する時間足もシンプルにしたほうが良いメリットもある。日足で方向性を定めながら5分足で分析、トレードしてもあまりメリットはない。

なぜなら、時間足が離れすぎているため自分の想像している方向性に値動きする可能性が圧倒的に低くなるからだ。

方向性を定めることができない

方向性というのは、上昇目線なのか下降目線なのかである。相場分析において目線が定まらないというのは、エントリーするタイミングではないことを意味する。

例え日足が上昇トレンドであったとしても、明日陽線が出る可能性は50%であると見ても良い。これはランダムウォーク理論でもあるように、結果的に上昇したとしても、次の足で上昇するかどうかは不確定要素なのである。

5分足でトレードするなら、長くても1時間足などで相場の流れを見ていきたいものである。極端にいうと、それ以上の時間足は分析を迷わせるだけのデメリットでしかないと言える。

相場は常にフラクタルなものであり、短期足、中期足、長期足のトレンドは全く違うものになっているパターンがほとんどだ。注視する時間足も、テクニカル分析においてシンプルに考えるのは大切な要素になる。

ロングとショートを固定するのはアリなのか?

常に上昇しか狙わない、下降しか狙わないといった考え方もある。これは果たしてどうなのだろうか?当然上昇しか狙わないのであれば、下降時は利益を狙えない。

株式では信用取引で空売りでショートを狙える。先ほどもお話ししたように、目線を決めるのは重要な要素である。エントリー時に上か下かを迷っているからこそ、往復ビンタをくらったり、買ったら下がる売ったら上がる現象に直結するのである。

買いしかしない、売りしかしない、というのは強制的に目線を固定する方法としてアリだと考えられる。ショートだけを狙うのであれば、ロングがどこで決済するのかなど逆ポジションの動向を徹底的に分析することができる。

テクニカル分析において、とことんシンプルを極めるのはメリットも大きくある。

シンプルに見ることによるメリット

木を見て森を見ずという言葉は有名だが、テクニカル分析においても正に関係のある言葉である。インジケーターや分析を多く使い回し、細かな分析をすればするほど大きな相場全体の流れを見落としかねない。

チャート分析に関しても、ロウソク足を大きく(太く)表示させるよりも、全体的に広く見ることも重要である。視覚的に見るテクニカル分析チャートは最重要であり、高性能かつ分析しやすいプラットフォームを選ぶことは必須だ。

もちろん細かな分析手法を使っても、勝てるならばなんでも良い。複雑な分析は絶対にダメだと言っているわけではない。ただし、勝てないのならば意味のないものなので、まずは自分自身で検証して、トレードスタイルにあった分析手法を見つけてほしい。

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