テクニカル分析とファンダメンタル分析を使い分ける方法

テクニカル分析とファンダメンタル分析は取引している期間や、トレードスタイルによっても重要性は大きく異なってくる。短期的には市場心理やテクニカル的な部分で動く要素は強くなるが、結果的に長期間で見るとファンダメンタル要因の方向に進んでいくものである。

特に株式市場などは為替市場などに比べ、より複雑なファンダメンタル要因がダイレクトに市場に反映されるため、よりファンダメンタル分析は重要になってくる。

この記事ではファンダメンタル分析とテクニカル分析をトレードスタイルによってどのように使っていけば良いのか?その関係性について解説していくので、取引しているトレードスタイルに照らし合わせて考えてみてほしい。

目次

長期間になるほどファンダメンタル分析は重要度を増す

トレードの世界において「長期投資は難しい」といわれる所以は、ファンダメンタルを長期的に予測することが不可能に近いほどに難しいからである。

株式投資や、金利差によって利益を得ようとする外貨預金などでは、長期投資をリスクが少ないと表現しているような情報もある。もちろんそう考えている一般の方たちも多くいる。

株式投資の配当や金利による利益は、元本に対しては非常に少ない利率だ。利益が少ないからこそリスクが少ないと勘違いしている一般人は圧倒的に多く、NISAなども基本的には長期投資という同じリスクを背負う。

なぜなら、投資元本は株価の上昇・下落によって大きく左右されるからである。当然外貨預金に関しても、スワップ金利にて得られる利益よりも、為替レートによる損失の方が爆発的に大きく、ハイリスクローリターンの典型的な例なのだ。

もちろん、ファンダメンタル分析により、これから数年先の未来にレートがどうなっているのか?これから上昇しているのか下降しているのか予測できているならば話は別になる。

もしも、そのような分析ができているのならば、その投資家はまさに神であり、一般人ではないことは明らかだろう。単純に、いかなる投資であっても、長期間になればなるほどファンダメンタルにおける分析の重要度は増してくる。

トレードスタイルによるテクニカル分析とファンダメンタル分析

為替市場と株式市場では市場規模が大きく違う。2022年9月には大幅円安に対し、日本は為替介入を実施したが、最終的な効果はあまり感じられなかった。

市場規模が大きいと例え国であったとしてもレートを捻じ曲げるのは難しく、特にファンダメンタル要因と投資家心理の思惑が一致した方向性を止めるのは不可能に近いことを意味している。

株式市場では、国が株式を買い上げることにより株価を上げることができた。もちろん便乗して個人投資家などが参戦するのも大きく、有名な上昇トレンドではアベノミクスなどがある。

つまり、市場規模が小さいと、国が株式を買い上げることのファンダメンタル要因は大きくレートにも影響を及ぼすが、為替市場など市場規模の大きなマーケットでは、ファンダメンタル、投資家心理などの要因が複雑に絡むことにより、ファンダメンタル要因だけで値動きを予測するのは難しい。

つまり、市場規模が大きくなればなるほど、ファンダメンタル分析よりもテクニカル分析にて市場心理や価格動向をトータルで見る必要性があるのだ。

短期的に見たテクニカル分析とファンダメンタル分析の使い方

短期売買においての為替市場では、テクニカル分析におけるシェアは大きい。対して資金力の影響が強い株式市場では、テクニカル分析におけるシェアはかなり小さくなり、テクニカル分析だけで利益を上げるのは至難の業である。

短期売買のテクニカル分析において必要なファンダメンタル分析は、経済指標や政策金利の動向になる。

気をつけたいのは、経済指標や政策金利がどのような結果になったとしても、どのように動くかはわからない。良い結果が出たからといって上がるわけでも、悪い結果が出たからといって下がるわけでもない。

しかし、これまで抜くことができなかったレジスタンスやサポートのラインを、ファンダメンタル要因を利用して抜いてくることはよくあることだ。

短期売買においては、ファンダメンタルで結果を予測するのではなく、ファンダメンタル要因で起こるかもしれない値動きに注意する必要性がある。

ファンダメンタルで市場が現在どのように動いているかは、長期足チャートを見れば良い。短期売買においてのファンダメンタルは突発的にレートを動かしそうな要因とだけ認識しておけば良いだろう。

ファンダメンタルは知らないでも良い場合も多い

どのようなニュースを見ても、これからレートが下がるような情報が多く、ファンダメンタル的にも下がる要因に溢れかえっている場合、心理的に下落にバイアスがかかるはずだ。

しかし、レートは上昇していっていたらどう感じるだろうか?そろそろ落ちる?なぜ上がるのだろうか?という思惑と共に、買うことはさすがに躊躇してしまうだろう。

ただし、上昇、下落はあくまでも市場が判断することなのだ。長期的にファンダメンタル要因に動いたとしても、短期的にはチャートに表示されているレートがすべて真実である。

つまり、短期的にテクニカル分析を利用しているのならば、余分な情報は入れない方が良いこともたくさんある。テクニカル分析とファンダメンタル分析は使い所をよく考えなければならず、経済の流れを我々個人トレーダーが読むことは不可能だと割り切ることも重要なのだ。

まとめ

天気予報を考えてみよう。これから1時間後の天気を予測するよりも、明日の天気を予測するほうが難しい。さらに、明日の天気を予測するよりも1週間後の天気を予測する方が、当たる確率は下がるはずだ。

トレードにおいて短期間になればなるほど、テクニカル分析おける重要度は高くなり、期間が長ければ長いほどファンダメンタル分析のように、不確定要素の高い分析を行わなくてはならない。

もちろん短期売買だからリスクが少ないとかそんなことを言いたいわけではない。あくまでもテクニカル分析とファンダメンタル分析の比重は、トレードスタイルやトレード期間によって変化するものである。

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