エリオット波動理論とは|基本知識を完全網羅【入門編】

この記事ではエリオット波動の基本知識と、定義(ルール)について解説していきたい。特に初心者向けの入門編という内容になっているが、ところどころに設置されている記事内のリンクをクリックしてもらう事により、より詳細な内容の記事を見る事ができるので、是非活用して頂きたい。

まずエリオット波動の派生だが、元々ダウ理論の補足として作り出されたものだ。エリオット波動はテクニカル分析と相場心理を考慮し、大きな値動きの波を「8つの波動」としてカウントしたものになる。

それではエリオット波動のベースとなる8つの波動の数え方から見ていこう。

目次

エリオット波動のカウントとルールについて

エリオット波動の基本的な波動構成

エリオット波動はマーケットの一連の値動きの規則性を上昇5波・下降3波の合計8波動からなると定義している。

数え方としては、上昇5波のうち1波・3波・5波が上昇の3波であり「衝撃波」と呼び、2波・4波は上昇の中の下降である事から「修正波」と言われている。

逆に下降3波のうちA波・C波が衝撃波であって、B波が修正波という事になる。そしてこの合計8波動にはそれぞれの波動の特性があるので、「1波」から順番にカウントの仕方と基本的なルールについて見ていこう。

エリオット波動「1波」

エリオット波動を実際のチャートに表示

上記画像を見てみよう、1波は基本的に下降トレンドの後、もしくはレンジ相場の後に突如発生するものだ。1波はその初動を捉えるのが非常に難しいのが特徴だ。

1波が発生する時は、マーケットにまだ下落の弱気相場が多く意識されている状態が多く、上昇自体も短くなる事が多い。

そして1波の場合は、下落の修正波と思われる場合も多いので、買いと売りが拮抗している場面でもある。

エリオット波動「2波」

2波はこれからの3波を見切るのに重要な修正波になる。2波を判断するにはダウ理論でいう「前回の安値を下回らない」というもので、言い換えれば「1波の安値を下回らない」というのが基本的なルールだ。

2波は上昇へと向かう買いと売りの最終決戦直近の攻防になる。

エリオット波動「3波」

3波はエリオット波動で1番伸びのある上昇で、多くのトレーダーが3波で利益を取る事を目標としている。3波のルールとしては

  • 1波の高値を超えていく
  • 上昇の衝撃波(1波・5波)よりも1番短くなることはない

いうものになっている。つまり3波を決定付ける最大の要素は「1波の高値を超えた」時であり、その時は一気に強気相場となり強い上昇トレンドを作っていく事が多くある。

エリオット波動「4波」

4波は1波の高値を下回らないチャート解説

4波のルールは「1波の高値を下回ることはない」というもので、3波の強い上昇からの利益確定売りが多く出てくるのがこの4波になる。上昇に乗り遅れたトレーダー達の買いも入り、2波と同じく買いと売りが拮抗した状態だ。

その時の相場状況によって買いと売りの力関係が変わってくるので、4波は非常に認識しにくく難しい相場になってくるのが特徴だ。

エリオット波動「5波」

5波とは最後の上昇局面であり、楽観的な局面でもある。ルールは特に無く3波の高値を超える場合と超えない場合がある。5波は非常に強い上昇となるパターンがあり、真上に大きな火柱が上がる事も多々あり、高値掴みには十分注意したい局面だ。

特に5波の最終の上昇が強い場合は個人トレーダーが多く買いポジションを握る局面でもある、5波での新規ロングポジションはリスクが伴う場合がある。

いずれにせよ5波の特徴とは「オシレーター系」のインジケーターと相性が良い場面が多く、ダイバージェンスなどのシグナルパターンも起きやすい相場となっている。

エリオット波動「A波・B波・C波」

この波動は下落の3波となっている。しかし、実際のところ下図のようにA波の安値を下抜けしないようなパターンもあり、C波終了からまた新たな上昇トレンドが始まるようなケースもあるので、安易に大きな下落だけを想像しないほうがいいだろう。

エリオット波動のA波・B波・C波のチャート

イレギュラートップ

上記チャートでは、B波の伸びが継続し1番強烈に伸びる特徴のあるC波が伸びなかった例だ。B波は、たまに5波の高値を超えて上昇する事もある。

これをイレギュラートップというが、イレギュラートップが発生したときはその後大きく下落するパターンも非常に多いので注意が必要になってくる。特に4波とB波は修正波としての特徴といくつかのパターンに分かれていて、読みにくい相場状況が多い。

A波とC波のエクステンション

衝撃波であるA波とC波にはエクステンションといって、波動が分割(延長)される時がある。簡単にいうと、もうひとつ分かりやすい波動が追加されている様に見て取れる状態の事だ。

もちろんA波・C波以外にも1波・3波・5波にもエクステンションは起きるが、A波とC波は確率的に多く見られるという特徴がある。

エリオット波動とテクニカル分析の組み合わせ

エリオット波動は基本的にダウ理論との相性が良い分析理論だという事だが、それだけではエリオット波動をうまく使う事はできない。

基本的には他のテクニカル分析やインジケーターを組み合わせて使うのが基本になる。ではエリオット波動と相性の良い代表的なインジケーターを2つ紹介しておこう。

ライン分析

ライン分析はエリオット波動と非常に相性がよく、水平線・トレンドライン共に強力な味方になってくれる。それでは水平線の使い方についていくつか例をあげてみよう。

  • 1波の目星を付けたい時
  • 3波がどこまで伸びるか見当をつけたい時
  • 5波がどこまで伸びるか見当をつけたい時

つまり水平線でレジスタンスやサポートラインを引く事で、波動がどこまで伸びていくのか?どこで利益確定をしていくのか?という目星を付ける事ができる。

フィボナッチ

描写ツールであるフィボナッチはエリオット波動と組み合わせて使うパターンが多い。特にフィボナッチリトレースメントとフィボナッチエクスパンションについてはエリオット波動を分析するのに有効なものだ。

フィボナッチとエリオット波動の共通点は、市場心理を使って分析をしているところで、「ダウ理論・エリオット波動・フィボナッチ・ライン分析」だけでも十分相場分析には立ち向かっていけるだろう。

なぜならこの4つ全てが「相場心理」に基づいた分析手法であるからと言えるからだ。

そしてエリオット波動・フィボナッチ共に共通するのが、出来上がったチャートをもとに次の展開を予測するのに「値動き」を重要視する事だ。

エリオット波動理論の基本概念

エリオット波動の考案者はダウ理論の信奉者であり、ダウ理論を補足する理論としてエリオット波動理論を発表した。

エリオット波動の基本理念は「自然界の普遍的に見られる法則もマーケットにも共通してみられる」という事であり、そういう理由からフィボナッチ数列との相性も良いとされている。

エリオット波動理論を判断するのは難しい

自然界に普遍的にあるものと言ってもそれは形として認識するのは難しいものでもある。例えばエリオット波動が紙に書いたような理想的な形ばかりを形成するのなら誰にでも容易く利益をあげる事ができるだろう。

しかし、実際にチャートで見てみると、どれが何波であるか分からず、トレーダー次第で見解が分かれる部分もたくさん出てくる。ではエリオット波動は使えないのだろうか?という事になってくる。

エリオット波動理論の本質はマーケットの全体像

エリオット波動は決してシグナルのようなものを発信している理論ではない。エリオット波動を何度も何度も探してトレードを行うことによって、トレーダーにとって必要な相場感が養われる。

最終的にエリオット波動は相場の全体像を把握するのに使用すると言う事だ。今何波なのか?というのが分からなくてもいいし、必死に探さなくてもいいのだ。エリオット波動がわかるところでは全力で利益を取りにいけばいい。

エリオット波動を気にして見ていると、たまにクッキリと波動が見える時もある。

エリオット波動からシナリオを構築する

エリオット波動を見つける事で大切なプロセスは、将来の値動きに対してシナリオを立てる事だ。例え自分の判断した波動が間違っていても構わない。

例えば1波の高値を下回るはずのない4波が1波の高値を下回ってきたとしよう。

上記画像は4波でも説明した画像だ、エリオット波動では4波は1波の高値を下回らないという定義があるが、実際の相場では下回る事は現実的にある。そしてそういう時の判断こそが大切になってくる。

下回る事のないラインを下回ってきたという事は、下落の力が強いという事だ。という事は将来的に下落を狙っていくシナリオを立てるという流れになってくるだろう。

下落を狙うという事は、最終的に5波を待ってからA波を狙っていくトレードを組み立てるという事になる。もちろん「エリオット波動で言ってた定義って結局使い物にならない」と投げてしまっても大丈夫だ。なにもエリオット波動を絶対に使わなければならない訳ではないからだ。

エリオット波動理論|まとめ

実際にエリオット波動による相場感を身につけようと思ったら、それ相当の検証と時間、経験が必要になってくる。しかし、忘れてはならないのはエリオット波動は相場の全体像を遠くから見るものだ。

立てたシナリオがその通りにならなかったとしてもそれでいいのだ。相場とはそう言うものであり、誰にも未来の事は分からない。

大切なのは、シナリオ通り値動きが確認されたら、勝負所でキッチリ勝負していく事だ。

エリオット波動があなたを勝たせてくれる訳ではない。エリオット波動を利用して自分が勝ちに行くのだ。もちろん利用するかしないかはあなた次第だ。

そして分析ツールなども自分に合ったものを使うと同時に、広範囲でチャート分析ができるテクニカル分析のツールというものもまた大切になってくるのは言うまでもない。

目次