フィボナッチタイムゾーンで知る事ができるのはこれから先の時間軸の転換点だ。
相場の大きな転換点と言えばトレンド転換になるが、フィボナッチタイムゾーンではトレンドの転換点というよりも、波の折り返し地点に目安をつけるといったものになる。
フィボナッチタイムゾーンでは値動き(分析チャートでいう縦軸の価格帯)に焦点をあてているわけではなく、時間軸(分析チャートでいう横軸の時間帯)に焦点をあてている。
簡単にいうと値動きの幅には一切フォーカスせずに、これからどの時間帯で値動きが折り返すか?どのような時間帯でトレンドが変わりやすいか? などを予測するツールになる。
フィボナッチタイムゾーンの使い方
では早速フィボナッチタイムゾーンの使い方を見ていこう。タイムゾーンをまず使ってみる事によって内容を少し把握する事ができるはずだ。
フィボナッチタイムゾーンをどこからどこに引くのか
フィボナッチタイムゾーンを引くにはまず起点となる波動を探す事になる、基本的に上昇トレンドや下降トレンドの起点になったところから引いていこう。
上記チャートはエリオット波動の上昇5波が確認できるもので、トレンドの始まりというのは第1波の波になる。
フィボナッチタイムゾーンは時間に対しての波動のリズムを見るもので、今回は赤い丸で示してある「上昇の起点」から「最初に付けた高値に引いていこう。
上昇の起点では、その前に下落してきたという前提があり、ダウ理論でいう「前回の安値を下に抜けないで高値を更新してきた」ことが前提となる。
さらにエリオット波動での上昇1波・2波が確認できているとかなり分かりやすい。もちろん上記図のように綺麗な上昇波動ばかりではない。特に2波はもみ合いになる修正波の変形パターンも多く、最初の高値を更新するまで待つことが重要になってくる。
それでは、フィボナッチタイムゾーンで波動の期間がどのくらいあったか?という「期間」を見ていこう。
上記チャートがフィボナッチタイムゾーンを引いた状態だ。線で区切られた時間はフィボナッチ数列の並びになっていて、最初に指定した区間に対して、これからの値動きの転換点となる時間帯が表示されているのがわかる。
フィボナッチタイムゾーンでは、これから先の時間帯でどの時間帯にトレンド転換などの「波動の転換」があるのかを予測するツールになる。
フィボナッチタイムゾーンの数列設定
フィボナッチタイムゾーンでは、リトレースメントやエクスパンションのように61.8%などの黄金比を使っているわけではなく。使っているのはフィボナッチ数列だ。
フィボナッチ数列とは、自然界にある数字の羅列で「前の数字と現在の数字を足したものが次の数字になる」というもので、タイムゾーンではその数列が使われている。
タイムゾーンの設定自体は変更可能なものもあるが、設定を変更してしまうとフィボナッチの意味が無くなるので、設定は変えないでオッケーだ。
フィボナッチタイムゾーンの使用例
それでは他のチャートでもフィボナッチタイムゾーンを使ってみよう。
下記チャートは上記チャートにフィボナッチタイムゾーンを当てたものだ。フィボナッチタイムゾーンの特性としては、「8」「13」というレベルの時間帯によく明確なトレンド変換が起きる。
上記のチャートは「8」で大きな上昇が止まっている。しかし、上記例のように必ず「8」や「13」で天井をつけるわけではない。
あくまでもタイムゾーンは目安となるものであり、シグナルのような使い方はオススメできない。
フォボナッチタイムゾーン下落パターンの使用例
上記チャートは上昇からの高値にタイムゾーンをひいたものだ。上昇の起点と逆に、下落の起点となった高値から最初の押し安値に向かってタイムゾーンを当てていく。
上記が下落の波動からタイムゾーンを引いたチャートになる。
フィボナッチタイムゾーンの考え方と注意点
フィボナッチタイムゾーンは相場の転換となった時の明確な波を基準に引いていくのが良いが、必ずエリオット波動の1波を捉えなくてはいけないというものでもない。
明確にトレンド変換したとわかるような波に引いてみて、検証をしながら慣れていってほしい。
そして、他のテクニカル分析と組み合わせるというのはフィボナッチ系は全てに当てはまる事だが、あくまでもメインのチャート分析の補助ツールとして使うようにしよう。
フィボナッチタイムゾーンは先を見る方が良い
実際にタイムゾーンをチャートに引く場合は、ある程度の波動が完成した時だ。つまり、タイムゾーンを引く時はすでに「2」「3」あたりの直近の数列の値動きはもう終わっているという事になる。
基本的にタイムゾーンを見るのは早くても「5」からであって、「8」「13」の値動きの目安をつけたい時に主に使うことになるので覚えておこう。
フィボナッチタイムゾーン時間軸の期間が長い時がある
フィボナッチタイムゾーンの特徴としてあげられるのは、最初に指定した時間軸の期間が長ければ長いほど「8」「13」が来るのも時間がかかる。
つまり、最初に結んだ2箇所の線が離れていれば離れているほど全体的なフィボナッチタイムゾーンの時間軸の期間が長くなる。
気をつけたいのは、使用している分析ツールだ。ログアウトしてしまうと、せっかく描写したフィボナッチなどのインジケーターが消えてしまうものが意外に多い。
これだと分析に支障をきたす可能性が大なので、MT5などの分析ツールを使用するか、TradingView(有料)などの分析ツールを使用することをオススメする。
時間軸と値動きの両方を合わせた「フィボナッチグリッド」
最後にタイムゾーンとリトレースメントを合わせたようなツールがあるので紹介しておこう。
時間軸と値動きにフォーカスしたフィボナッチアークというツールもあるが、フィボナッチグリッドというツールは非常に単純にタイムゾーンとリトレースメントを合わせたものになっている。
見方はリトレースメントと同じで、タイムゾーンの要素を取り込み、どの時間帯で価格が反発するかというのを見るツールになっている。
矢印で示した部分は押し目を作りそうな時間帯となっているが、さほど重要視して見るものとは言い難く、リトレースメントのほうが圧倒的に使いやすい。
今後フィボナッチグリッドについて疑問があった時の参考にしてほしい。
まとめ
フィボナッチタイムゾーンは価格ではなく時間軸を使った描写ツールで、値動きの転換点を探るためのツールだ。
よくフィボナッチタイムゾーンは使っているトレーダーが少ないから効き目がないという意見があるが、あながち間違いではない。
しかし、フィボナッチ数列というのはそもそも自然界になぜかある比率であって、相場心理を自然界の法則を使って描写するツールなので、機能するとか機能しないとかそういう問題でもない。
そう考えるとそもそもフィボナッチ数列を使ってチャート分析をするという事は、目安を知る為であって転換や反発の明確な指標では無いという事だ。
フィボナッチを見る時は細かい値動きではなく、相場の全体像を見るようにする事が大切になってくる。
そうする事によってフィボナッチはトレーダーの使いやすい描写ツールとして活躍してくれるはずだ。